ぶどうの剪定講習会レポート

  • 2017.02.25 Saturday
  • 15:49

多摩市でぶどうの剪定講習会

 

2月16日。

市内の農家を集めての、ぶどうの剪定講習会が開かれました。JAの職員が知る限りでは、ぶどうの剪定講習会は多摩市で初めてなのだそうです。

 

講習場所は、関戸の藤井睦夫さんのぶどう畑。市内の農家8軒が集まりました。

これまでも個々にぶどうを栽培している農家はありましたが、JAや農業改良普及センターから本格的に指導を受けながらぶどう作りをしている藤井さんの様子に、「栽培してみたい」と刺激を受けた農家が増えたようです。

 

 

 

講習指導を行うのは、agri agriブログ ですっかりお馴染みの南多摩農業改良普及センターの原島さんです。

実は参加者のみなさん、前日に山梨のブドウ園を視察し大きな刺激を受けてきたようです。そのこともあってか、いつになく…いえいえ、いつも以上にみなさん真剣な面持ちです。

 

 

ぶどう栽培には、いくつかの仕立方法(枝の伸ばし方)がありますが、今回は代表的な「X(エックス)仕立」で講習を進めていきます。

 

ぶどにも主幹・主枝・亜主枝があります。

平面上に広がっているので

枝の違いがわかりやすい。

 

原島さんの話では、ぶどうはその性質から他の果樹とは違った独特の栽培のコツがあるのだとか。

たとえば、柿や柑橘類などは、鈴なりに実がなっても味が極端に落ちることは、あまりありません。でも、ぶどうは育つに任せて実を全部ならせてしまうと、とても美味しくないぶどうができてしまうのだそうです。実の色もきれいにつきません。

「ぶどうは、決まった数だけ実をならせることが大切」と原島さん。

高く売れるからと、どんどんならせて、どんどん収穫して、どんどん売って! なんてことはできないんですね。数が限られているからこそ、高値になってしまうのかもしれません。

 

山梨のぶどう園視察の後ということもあり

農家さんからは、たくさんの質問が出ていました。

 

さらに、ぶどうは毎年新しい枝に実を付けていきます。一度実を付けたら、そこには実はなりません。その特徴を踏まえて剪定しないと、実の付く場所が枝の先へ先へと移り、端っこにしか実がならず中心に実の付かない無駄な部分が増える。いうなればドーナツ化現象のようになってしまうのだそうです。

「それを防ぐためにも、主枝や亜主枝など、果樹の中心となる枝の付け根に近い部分に翌年のための『種枝』を作っておきます」と原島さん。

枝を短く切り、今年は実をならせず、1年後に実をつけることを期待して残す枝です。種枝を作ることも、毎年の剪定で欠かせない作業です。

ただし、種枝として残した枝が翌年枯れることもあります。思うように育たなかったときのための「保険」も考えながら剪定せねばなりません。頭脳戦ですね。

 

「この枝を、種枝にするか」

「この先の枝は切っていいだろ?」

枝の役割を確認しながら実習しています。

 

「果樹の中でもぶどうは、より計画性が大切」と原島さんは話します。

ぶどうは「大人の果樹栽培」と言われることがあるのだそうです。それだけぶどうは頭を使うということなのでしょう。

 

枝を切って中の構造を見せながら

「適した切り方」の説明をする原島さん。

 

枝を誘引するための、ひもの結び方も実習。枝の成長に合わせて、結ぶ位置や場所も大事なのだそうです。

 

 

「男結び」という、園芸では基本中の基本の結び方。わたしも結んでみました。

農家さんがやるとしっかり固定(写真の右側)。残念ながら、わたしが結ぶとゆるゆる(左)。

 


 

 

「ぶどうは難しいよな。いまだに試行錯誤だよ」と、ぶどう栽培を始めて丸7年経つ藤井さん。毎年剪定時は、切ろうか残そうかと、迷うことが多々あるそうです。

美味しいぶどうの陰に、農家さんの冬場の苦悩ありです。

 

ぶどうは、定植してから出荷ができるようになるまで3年から5年ほどかかります。今回講習会に参加した農家さんの畑のぶどうが、数年後、夏の店頭をにぎわせていることを期待しています!

 

(K)

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