椎茸生産者 増田さんの紹介

  • 2013.12.30 Monday
  • 09:00
多摩市発の新鮮な椎茸を、都心にも広げたい
 
増田さんは、椎茸を専門に栽培する生産者さんです。


40歳の若さで勤めていた会社を辞め、施設園芸事業者に転身しました。
「新しいことを始めるならば、体力があるうちと思ったんです」と増田さん。
椎茸との出会いは、子供の頃、まだ町が区画整理される前におじいさまが重たい原木を運ぶのを手伝ったこと。
椎茸には、懐かしい思い出があるそうです。
 
さっそくハウスの中を見せていただきました。



おお〜〜〜っ! おもしろい!!
ハウスの中には、何段もの棚に、椎茸を栽培するための菌床(きんしょう)がぎっしり!



よく見ると、そこから椎茸がにょきっと顔を出しています。
「菌床のもとは、おがくずを固めたものです。おがくずを培地にして、椎茸の菌を植え付けています。と、丁寧に説明してくださいます。
届いてすぐの菌床の表面は白い色をしていますが、だんだん菌糸が伸び茶色になっていきます。
下の写真は、届いたばかりの菌床です。




「菌床の表面の茶色いものは、菌自身が自分を守るために作ったかさぶたのようなものなんですよ」。
菌が、自分を守るかさぶたを!? う〜ん、菌の世界は興味深いですね。

ハウスの中は、ちょうど山の春と秋の状態に似た環境を作っています。

「季節の変わり目の状態を保つことで、通年、椎茸が収穫できます」。
写真は、収穫風景です。息子さんもお手伝い中。



「まず、椎茸1本で事業を」と始められただけあって、話の端々からものすごく勉強されていることが伝わってきます。
栽培の工夫や椎茸の管理など、とてもきめ細やか。




ハウス内の環境も、ITを活用しています。ハウスの中の状態をチェックする機械から、増田さんのスマホにその数値が定期的に送られてきます。
「いい椎茸のためには、まだまだできる工夫があるはず。本当の安心、安全な椎茸をお客さんに食べてもらうためには、自分が試して納得しないと気が済まないんです」と、椎茸栽培に対してとても研究熱心。
増田さんの椎茸は、肉厚で椎茸の味がしっかり味わえると評判です。
増田さんの熱意と美味しい椎茸の評判から、都心にも販路を広げつつあります。
 
今では順調な椎茸栽培ですが、スタート時はトラブルの連続だったとか。
2010年にハウスが完成し、菌床を初めてハウスに入れたのがその年の10月。
いよいよ収穫が近づいた頃に、東日本大震災が起こりました。
椎茸は振動を与えると、発生(椎茸が出る)する性質があります。
震災の揺れのため大量の椎茸が発生し、初めての収穫にもかかわらず店頭に出せない椎茸が大量にできてしまいました。
また震災直後の夏場の計画停電の影響か培養が不完全な菌床が送られてきたり、冬には大雪でハウスがつぶれたりといったトラブルに見舞われました。
「自然相手なので、しょうがないですよね。でも、今思えば、最初に痛い目にあってよかったのかもしれません。これから先のための、いい経験です」。
増田さん、強いですね。
「若かったからですよ。年を取って始めてたら、前向きにはとらえられなかったかもしれません」。
 
「ところで、うちの椎茸食べてみませんか?」
食べます!食べます!

見てください。この大きさ!



「椎茸は、素焼きがいちばん。焼き方にコツがあるんですよ」と教えてくれたのは、椎茸の傘を下に、要するに石突を上にして焼く方法。
「椎茸の7割くらいは、実は水分なんです」と増田さん。その水分の中に美味しさが入っています。
ついBBQでは、私、傘を下にして焼いてしまいますが…
「それじゃあ、水分が全部下に落ちちゃう。美味しさ半減ですよ。」と笑われました。
椎茸を「焼く」というより、火を通すイメージが調理のコツのようです。


ということで、さっそく調理開始。
椎茸は丸ごと使います。一方は石突をつけたままで、傘の内側に粗めの塩をお好みの量ふります。
もう1つは、石突を取った傘の内側に醤油、マヨネーズをかけ(ケチャップもOK)、その上にチーズをのせて、
オーブントースターで約7〜8分。
あっという間に完成です。そしてお味は…。



 
こりゃ、すごい! 椎茸の汁が口の中に広がります。
食べた後にも、椎茸のうま味が舌の上に残ります。
生椎茸って、こんなにうま味が感じられるものでしたっけ?
チーズの椎茸は、ピザ風味。これは、子供は間違いなく大好きでしょう!
 
「椎茸の佃煮も美味しいですし、小さめの椎茸はスープやカレーにそのまま入れたり。
石突のやわらかい部分を輪切りにして、ソーセージ代わりに使うと、ダイエットにもいいですよ」と、椎茸レシピが増田さんからぞくぞく出てきます。
レシピのほとんどは、奥さまの考案だとか。
椎茸を美味しく料理に使えないかと、日頃からいろいろと試しているそうです。
椎茸って、幅広く料理に使えるんですね〜!
 
「椎茸は、傘が開き過ぎると水分とうま味成分が抜けていってしまうんです。
なので、傘が開ききっていないものが新鮮。
買う時のヒントにしてください」と、椎茸の選び方も教えていただきました。
さらに追加情報。椎茸栽培を始め椎茸を食べる機会が増えた増田さん。
そのおかげか、病気をしなくなったそうですよ。
 
「椎茸栽培は、まだ始まったばかり。これから、どんどんアイディアを膨らませていきますよ」と増田さん。
キノコ、トマトなどの施設園芸での栽培も計画している段階です。
ハウス内の環境を遠隔制御できるシステムもメーカーさんと共同で開発中とか。
ハウス栽培の可能性を追求しています。
増田さん、未来につながる農業をしっかり見つめています。
多摩市の農業がどんどん元気になる種が、ここにあるのかもしれませんね。



 
椎茸のうま味と、増田さんのエネルギーをたくさんいただいた取材でした。

(K)
 

 

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