一ノ宮用水路調査紹介

  • 2014.12.13 Saturday
  • 16:41
一ノ宮の田んぼの用水路
生き物調査レポート

 

多摩市でいちばん広い、一ノ宮の太田さんの田んぼの脇の用水路。
この用水路は、日野市から流れる程久保川とつながっています。
 
用水路と田んぼは「取水口(水口)」と「排水口(水尻)」でつながり、用水路から田んぼに水をひいたり、抜いたりします。



 段差がない改修工事前の排水口。

田んぼに水が満ちていると、田んぼと排水口と用水路が水でつながり、用水路に棲む多くの生き物は、水の中を行き来しながら、田んぼの温かい水と豊富なエサで成長し、繁殖します。
そして、田んぼから水を抜くときに排水口を通って、用水路に戻り、用水路で越冬します。
用水路で越冬した生き物たちは、翌年、水が満ちる田植えの時期に再び排水口から田んぼに入り繁殖します。
田んぼは、生き物が成長したり産卵したりと、自然を育む場。
 
太田さんの田んぼの脇の用水路は、2014年1〜3月に、護岸改修工事が行われました。
改修工事を行うことで、田んぼから用水路への排水口に段差ができてしまったり、泥の沈殿が少なくなったりと、生き物の棲む環境を大きく変えてしまう可能性があります。改修工事前に行った調査では、排水口には段差がなく、生き物が行き来でき、田んぼで生き物の繁殖が行われていることがわかっています。
そこで、これまで東京農工大学で行われてきた多摩地区の農業水路の調査結果を参考に、同大学非常勤講師の西田先生の協力を得て、市民の側から生き物に配慮した工法を取ってほしいとの要望を多摩市に出しました。
工事の際に、排水口には段差をつけない工夫をしたり、田んぼ側の岸はコンクリート護岸にせず木杭を打ち込むことにしたり、また、越冬場にと橋の下を他よりも深くしたりと、できるだけ生き物に配慮したそうです。
 
上は改修前、下は改修後の用水路の様子。





木杭で護岸を補強した、田んぼから用水路への排水口。
段差はありません。

 

改修後、今回の工法が用水路の様子や生き物にどう影響するか、モニタリング調査を行っています。
調査しているのは、西田先生を中心に、「よみがえれ、大栗川を楽しむ会」をはじめとした市民のみなさんと市の環境部職員。
 
第1回目の調査は、工事前の2013年11月。
工事前のデータをもとに、工事後の環境の変化をチェックしていきます。
第2回目は2014年4月、第3回目は9月。
そして今回おじゃましたのが、第4回目の11月16日です。
午後1時に集合し調査開始。




20メートルごとに用水路を区切り、下流から、中流、上流、最後に橋の下の4か所で調査。
それぞれの場所を30分ずつ(橋の下は10分)、生き物がいそうな水中に生えている植物のあたりや大き目の石の下、藻の中などを網でガサガサしながら、生き物を捕獲していきます。

晴天といえ、11月の川は寒そうです。
30分の作業を、10分交代で捕獲します。
すくった網の中の藻や泥を掻き分け、生き物を取り出します。
地道な作業が続きます。

右の写真は、見つかったドジョウ。

  

メンバーの半分は水の中で捕獲。
半分は捕獲した生き物の同定を行います。
「同定」とは、生き物の種名を決定することです。
種類と数と共に、ドジョウやギンブナなどは、大きさも確認します。
成体か幼体の確認だけでなく、記録した大きさを追うことで、それぞれがどう移動しているかがわかるのだそうです。




「ギンブナ37弌廖屮織皀蹈28弌廚覆鼻定規を手に次々と記録していきます。


生き物に詳しくなければできませんね。
 
10歳の男の子が参加していました。
「ぼく、魚は詳しいよ」
かなり自信がありそうです。


隣で同定している大人から「この魚、名前は何?」と頼られていました。
 
調べた生き物はカウントされ、最後に用水路に放されます。



生き物の様子はどうですか?
「工事直後の春よりも、だいぶ戻ってきていますね。」とメンバーの方。
以前の調査では、都の絶滅危惧種である「トウキョウダルマガエル」の幼体が見つかりました。
「この改修工事のように、農業のしやすさを確保しながら生き物の成長や繁殖が可能な環境を残す配慮を、これからも多摩市は続けてほしいですね」と、大栗川を楽しむ会のメンバーで市議でもある、向井さんが話してくれました。
 
下流、中流、上流と調査が進み、ようやく休憩タイム。
アウトドア好きなメンバーが、携帯ガスバーナーでコーヒーをいれてくれました。



水の中で冷え始めたからだには、とってもありがたいサービスです。
コーヒーを飲みながらくつろいでいると、西田先生が
「いよいよクライマックスです」との声。

最後は難関「橋の下の調査」。
橋の下に入って、生き物を捕獲します。
中に入る人は、頭から完全防備です。




少し深くなった川に膝上まで浸かり、腰を曲げての作業は大変そう!



 
突然「わっ!」「きゃっ!」と声がします。
「何か大きいのがいる!」
 
捕れました! 
体長421仟腓なコイです!



 
魚博士の10歳男子も大興奮。
コイのために水をかけてやりながら、体をペタペタ触って
「う〜〜ん、僕この匂い好きなんです」と語ってくれました。
コイの匂い…。
気にはなったものの、嗅ぐ勇気は私にはありませんでした…。
 
橋の下で捕獲した生き物の記録を取って、本日の調査は終了です。
 
用水路の脇の田んぼで仕事をしていた太田さん。
「田んぼを続けていることが、少しでも自然に役に立っているのがわかるとうれしいよね」と話していました。
生き物と田んぼとの関わりがわかれば、都市農業においても田んぼを残すことの大切さが見えてきます。


後日、西田先生がまとめた調査資料によると、今回、改修前の川の状態に近い結果が見られたそうです。
ただし、それが改修で工夫した工法の効果なのか、他の要因によるものかはわかっていません。
また、橋の下だけコイや大型のギンブナが採れたことから、橋の下の深みが越冬場になることが期待できそうだということです。

今後も用水路の調査は続くようです。


活動内容や調査データは、こちらのサイトで見ることができます!
多摩市水辺の生き物調査の記録
 
(K)
  • 0
    • -
    • -
    • -

    calendar

    S M T W T F S
         12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31      
    << May 2020 >>

    selected entries

    categories

    archives

    recommend

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM