大松誠二さん・幸代さん紹介

  • 2019.04.01 Monday
  • 12:00

原峰公園の麓、鎌倉時代から続く場所を守りたい。

夫婦二人三脚で挑む、地域に還元する農業。

 

「のらぼう菜ができるころに畑においでよ」と、誘っていただいて、

いそいそと楽しみに関戸の大松農園を訪ねることになった3月中旬。

散歩をするのに気持ちの良い晴天の中、多摩市役所から旧鎌倉街道の坂を下り、

原峰公園をぐるっと散策してから、すぐそばにある畑に取材におじゃましました。

 

 

農園を営むのは大松誠二(おおまつせいじ)さん・幸代(さちよ)さんご夫妻。

畑は、原峰公園の山々が借景になっているご自宅前の他、市内に4か所あり、

年間約20〜30種の野菜や果物を栽培しています。

 

▲今が旬!大松農園の主役野菜 のらぼう菜がお出迎え。

 

▲のらぼう菜を紹介する大松誠二さんと幸代さん。

 

春の訪れを感じさせてくれる のらぼう菜。

西多摩地方で古くから栽培されてきたというアブラナ科の野菜で、

菜の花と同じように、花芽や若い茎葉の部分を食べます。

 

「おひたしにしても良いし、ベーコンやウインナーと炒めても美味しいの」と、

幸代さんが のらぼう菜の美味しい食べ方を教えてくれました。

 

この畑は幸代さんのご両親が代々から受け継いだ農地で、その歴史はとても古い!

 

「ここの人たちはみんな名字が一緒だったりするから、屋号で呼び合っていてね、

鎌倉時代の言い伝えで、うちの屋号は“かしや”。お菓子の“かし”。

家を整理していたら古いのし板が出てきたことがあったから、

おまんじゅう屋さんだったかもしれない」と幸代さん。

 

畑の前の道路は鎌倉時代から通じていたとされている中世の古道、鎌倉街道。

 

「関戸という地名の由来もここに“関所”があったからというでしょ。

熊野神社に関所跡があるし、原峰公園の頂上は城があったという説もあるよ」と、

誠二さんがこの場所の歴史を解説してくれました。

 

▲大松農園の前を通る旧鎌倉街道(バス停「坂下」より撮影)。

屋号には、“やと” “さかした”など、この地域の地形を指す呼び名も。

 

大松農園の畑は近年の区画整理などで点在するようになってしまいましたが、

自宅のある地域は昔のままの地形や自然が残されています。

 

「4月になったら筍が出るよ」

誠二さんが自宅の裏側を案内してくれました。

ちょうど原峰公園を背負う形になっており、竹がうっそうと茂ります。

所有・管理している山の一部分(公園の敷地外)には、

樹齢100年を超す禅寺丸柿の木などの古木が残っています。

 

裏庭には柑橘類やキウイフルーツ、オリーブの樹などが成長中。

「オリーブなんて、良いでしょ。塩漬けにして食べるのが楽しみ。

自分で作ったもので料理して一杯やる。小さな幸せだよね」と誠二さん。

 

▲たくさんの実がついた芽キャベツ。「こんなにたくさんついてるの!?」と

驚くスタッフに、シャッターチャンスを用意してくださる優しい誠二さん

 

農業を本格的に始めて6年。

それまでは多摩市内にあった測量事務所を40年間経営。

市内を仕事の舞台とし、土地家屋の測量や登記業務などに携わってきました。

どうりで地域のことや建築や歴史にお詳しいわけです!

 

そして、今年で多摩市農業委員の任期2年目。

市内の農地転用などの許認可を行う農業委員の仕事において、

測量事務所時代のスキルが活かされているそうです。

 

「野菜作りは経験がなかったから、近くの農家に教えてもらったり、見よう見まね。

(農業委員になったのは)その時の恩返しのつもり。農家みんなの助けになると思って」

生産緑地法改正や新制度への対応など、市内の農家さんが直面する様々な事柄に、

自分の知識経験が役に立つかもしれないと考えて手を挙げたそうです。

 

ご自宅の周りでも新築住宅が立ち並ぶようになりましたが、

「わずかに残った畑を守るのが使命かな」と誠二さんは話します。

鎌倉時代から続くこの場所・この地域への愛が伝わってきました。

 

▲種蒔きを終えたばかりの育苗ハウスにて。

 

栽培する野菜の種類の選定や、種蒔き、苗の管理は幸代さんが担当。

「毎年作る野菜はだいたい同じ種類。でも、新しいものに挑戦することもあって。

今年はズッキーニを初めて蒔いてみました。うまくいくかしら」と幸代さん。

 

両親は90歳まで現役農家。この場所で野菜作りをしていた姿を見てきました。

様々な野菜を作ることで土を良くし、農薬をできるだけ使わない栽培方法です。

「ずっと同じ場所で同じ野菜ばかり作ったら連作障害になってしまうから、

ここの畑の土に合う野菜を選んで、ちょこちょこと、色々作っているんです」

幸代さんが種を蒔き、誠二さんが畑をつくる。

夫婦二人三脚の農作業の姿が見えてきました。

 

▲「このあたりをポキっと。手で簡単に折れるから、摘んでみて」と、

幸代さんに のらぼう菜を摘むポイントを教えていただき、収穫体験♪

(この後、たくさんの のらぼう菜のお土産をいただいてしまいました!)

 

のらぼう菜の栽培には特別なこだわりがある幸代さん。

15年ほど前から種の自家採取をしています。

「西多摩産の種をもらったのが始まりですが、葉の形や味が良くて。

他のところの のらぼう菜には替えられないんです」

 

夏に種を採取し、秋に種蒔き。冬の寒さを乗り越えて甘味を蓄えます。

成長期も、3〜4月の収穫期も、虫が居ない時期なので農薬は全く使いません。

 

大松農園の のらぼう菜は、苦みやクセが無く、とっても甘くて美味しい!

収穫した日なら、生で食べられるくらいに茎が柔らかく、

軽く茹でれば色鮮やかなグリーンが食欲をそそります。

 

「土が合っているんでしょうね。1粒の種からこんなに大きな株に。

折ったところからどんどん脇芽が出てくるから、ずっと収穫できるの」と、

直径50cmはある特大な のらぼう菜の株が連なる畑で、

収穫の手が止まらない幸代さんでした。

 

 

のらぼう菜の後は、スナップえんどう・空豆のシーズンへ。

そして、じゃがいも・トマト・ナス・キュウリ・空芯菜…

少量多品目栽培なので、次から次へと旬が巡ってきます。

 

作った野菜はアンテナショップPonteや軒先(今は販売棚補修中のためお休み)で

販売している他、諏訪にある保育園や、子ども食堂にも提供しています。

また、市内の幼稚園生にじゃがいも掘り体験をしてもらうことも。

 

「自分たちの作った野菜で、みんなに喜んでもらえたら良いよね。

これからも身体が丈夫な限り、良いものを作っていきたい」と誠二さん。

 

そして、この春から新しく挑戦するのは「アスパラガスの採りっきり栽培®

昨年秋に開催された明治大学での栽培セミナーに参加したお二人は興味津々でした。

一般的な方法で栽培したことはあっても「採りっきり栽培®」は初めて。

アスパラガスも のらぼう菜に次ぐ主役級野菜に育つと良いですね♪

▲昨年11月に市内農家さんたちが参加した明治大学での栽培セミナーにて。

(写真中央が大松ご夫妻)

 

古いものを大事にしながら、新しいことも楽しんでいる大松ご夫妻。

仲良しなお二人に、夫婦円満の秘訣をお聞きすれば良かった…!と振り返りつつ、

代々からの畑や愛着あるこの場所を守り、農業で還元したいという同じ思いが

お二人の原動力になっているんだなぁと感じました。

 

取材冒頭、ちょっと「歴史探訪(多摩編)」的な内容になりましたが、

農業の伝承とともに伝えていきたい、この地域の大事なことだと思いました。

貴重な話をお聞きすることができ、わたし自身とても勉強になりました!

誠二さん・幸代さん、ありがとうございました!

 

 

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